小熊 別に学術書らしくないから不満だというのではなくて、著者が自分のなかに予めある見解をそのまま出しましたという本は、好きじゃないんですね。その作品を作る過程で著者自身が変化していったり、化学反応を起こしているものが好きです。そういう化学反応がない人は、何を書いてもみんな同じになってしまう。
あなたが今、日本で若者と分類されるぐらいの年齢で、ある種記念写真的に書いておきたかったというのであれば、それはそれでいいと思います。たぶん35歳になってオーバードクターの年限も切れ、学術振興会の助成金も取りそこね、時給800円の職しかなくて親の介護が必要になりはじめたら、「なんとなく幸せ」とは書かないでしょうから。
あなたが今、日本で若者と分類されるぐらいの年齢で、ある種記念写真的に書いておきたかったというのであれば、それはそれでいいと思います。たぶん35歳になってオーバードクターの年限も切れ、学術振興会の助成金も取りそこね、時給800円の職しかなくて親の介護が必要になりはじめたら、「なんとなく幸せ」とは書かないでしょうから。